外国人看護師の受入れ問題
外国人看護師の受け入れ問題が、しばしばメディアに取り上げられています。
背景にあるのは、看護師の不足。
看護師が足りないので、増やそうとしても
専門の学校に数年間通わなければならない。
学校の定員を大幅に増やしても、
現場の負担が減るのは、早くても5年後くらい。
そこで、海外から看護師を受け入れよう!
ごく単純に説明すると、こういった政策があります。
インドネシア・フィリピンとの経済連携協定(EPA)を結んで、これを推進しています。
「外国人看護師を受け入れることの是非」については、コメントしません。
今回、コメントしたいのは、
「そもそも、国は本気で取り組んでいないのでは?」ということです。
先日のニュースで
今年度のインドネシア看護師の最大定員の6割分の就業先しか確保できていないと、報じられていました。
受け入れる施設・病院がない。
人が足りないのに、受け入れ先がない?
いろいろと理由があるようです
・日本語訓練に時間がかかる
・患者に精神的な負担がかかる
・今年度はフィリピンから受入れがあるから、インドネシアは少なくなった
私の結論は簡単で、「国が本気で取り組んでいない」です。
なぜか?
「受け入れる病院にメリットが全くない」
受け入れ施設(病院)には、こんなルールがあります。
・受け入れ施設は渡航費・研修費用として、1人当たり50万弱を負担。
・給与は日本人と同水準。
・研修責任者を置き、語学を含む研修計画を立てて指導。研修費用は受け入れ先負担。
簡単にいうと、日本人と同じ給与を払った上で
50万円負担し、別に研修責任者を置き、手厚い指導をする。
できるのは、一部の看護師・介護士に余裕がある施設だけ。
ただでさえ、人で不足なのに、こんなことする余裕ありますか?
余計、現場に疲労感が溜まるでしょう。
研修する時間があれば、現場に出したいと思うはずです。
長い目で見て、本当に受け入れを実行するのであれば
受け入れる施設・病院に何らかのインセンティブをつけることが絶対条件になるでしょう。
研修費用・講師は、国が負担するのは当然として
日本で看護師資格を取得するまでは、給与の半額を国が負担する、等。
本気で取り組むのであれば、病院の経済性を考慮にいれた仕組みを作るべきです。
今の制度では、誰にもメリットがないですから。
2009年05月28日カテゴリー:看護師