偽薬
こんにちは。看護プロの笠木です。
先日、海外のドキュメンタリーを日本に紹介しているテレビ番組を見ていたら、
医療に関するニュースがありました。
番組→CBS60ミニッツ
そこで特集されていたのは偽薬。
最近、世界で出回っている偽薬が正規品に交じってアメリカでも流通しており、
死亡事故を引き起こすなど、深刻な社会問題になっているというニュース。
日本で普通に暮らしている身としては、全く想像がつかなかったのですが、
海外ではこの偽薬が結構ビビッドな問題になっているらしいのです。
一説に拠れば、途上国では流通している薬の25%が偽薬、
世界の偽薬の市場規模は52兆円にも達するとのこと。
なんだかとんでもない数字でこれまた想像がつきません。
52兆円って中規模な国のGDP、日本のGDPの10分の1ですよね。
それに全体の25%という数字は、もはや偽薬なしでは
社会が回らないということなんでしょうか。
番組ではお世辞にも衛生とはいえない場所で偽薬を大量生産する工場や、
マフィア崩れの工場労働者、また、その対策に奔走する、
捜査員のような企業担当者が、経済的な被害に絶叫するインタビューが映し出されていました。
そもそも偽薬がいけないのは、企業が投資に対して適切なリターンを得られる土壌じゃないと、
新しい高品位の新薬が生まれないからでしょうし、
それ以前に薬を飲んで健康被害なんてふざけた話だからですが、
でもこれって、医薬品が不当に高過ぎる(あくまで受け手の感覚)ってこともあって、
生み出されたという側面もあるのかもしれないですね。
当然、偽薬があるからこそ助かった命もあるのでしょうし、
世界には偽薬に頼らざるを得ない地域や人々もいるのでしょう。
突き詰めていくと、命の値段的な話になるのかもしれませんね。
番組では特に触れられていませんでしたが、
この偽薬の製造や、確信犯的に薬を使用している人のインタビューもあると
より深みのある面白いレポートになったように思います。
ちなみに、別の記事で、ある国で偽薬の規制を強くしたところ、
一部のジェネリック薬品が禁止されたという例もあるなんて話も聞きました。
いやはや、どこの国も役所のやることって何だかチグハグしてますね。
ま、うまく行っている施策が多いからこそ、悪目立ちしちゃうのかもしれませんが。
2012年04月12日カテゴリー:医療全般