ASEANの医療統合
ASEANの医療統合、という話がちらほら聞こえてくるので、少し調べてみました。
そもそも、なんの略かというと、「Association of South‐East Asian Nations」日本語でいえば、「東南アジア諸国連合」です。
インドネシア、フィリピン、ベトナム、タイ、ミャンマー、マレーシア、カンボジア、ラオス、シンガポール、ブルネイの10カ国で構成されています。
ちなみに!ASEAN内の人口は6億人!5億人の人口の欧州連合(EU)より多いのです。そして、加盟国の合計のGDPは2兆ドル弱で、日本のGDPのだいたい30%程度の規模。
10カ国間の格差も大きく、人口が100万人に満たないブルネイから2億3000万人と(中印米に次ぐ)世界第4位の人口を持つインドネシアまで、1人あたりGNIが600ドル以下のカンボジアから3万ドルを超えるシンガポールまで、広範に拡がっています。
輸出入を見ても、石油輸出国のブルネイやマレーシアから石油輸入国のタイやシンガポール、世界最大のコメ輸出国のタイやベトナムから世界最大のコメ輸入国フィリピンまで、さまざまです。
そして、今、ASEAN統合、という大きなプロジェクトが進んでいます。
2015年までに、関税、投資、人の流れを自由化する計画です。
現加盟国タイ、インドネシア、シンガポール、フィリピン、マレーシアでは、既に関税は0-5%程度に引き下げられています。
また、人の流れに関しては、加盟国の観光ビザが廃止され、看護師などの職業資格を国家間で相互承認することが決まっています。
ちなみに、統合優先分野は12項目が既に決まっており、調整する国も決まっています。
農業産品:ミャンマー
航空旅行業:タイ
自動車:インドネシア
e-ASEAN(ICT):シンガポール
エレクトロニクス:フィリピン
漁業:ミャンマー
保健医療:シンガポール
物流:ベトナム
ゴム製品:マレーシア
繊維・アパレル:マレーシア
観光:タイ
木材産品:インドネシア
それぞれ強みの国が調整担当をしている、という感じです。
そして、この中の「医療」に関する統合は!!
と思ったのですが、ここからは英語の資料しか出てこず・・・
今回はさわりだけです(笑)
「看護師免許の共通化」と「医療機器規定の共通化」
・mutual recognition arrangement on medical practitioners
「看護師」の資格を域内で「共通化」しつつあります。既に、シンガポール、マレーシアへフィリピン、インドネシアから看護師が流入しています。これ、どっかで聴いたことありますね・・・めちゃめちゃ競合がいたわけです。そりゃ、いくら日本のほうが給料いいとはいえ、日本語の壁がある日本とそうじゃないシンガポールであれば、シンガポールに行きますよね。シンガポールが厳しくても、少し給料を我慢すれば、語学の壁はほとんどないマレーシアに行きますよね・・・まずは、人の交流からスタートしている模様ですが、「医療技術」の交流・汎用化を目指しているようです。
・medical device regulatory integration
「医療技術」の交流・汎用化の一歩目として、医療機器の規定の統合を図っています。これも比較的大きなハードルがあり、そもそも、医療機器に関する法律がない国があるため、そのレベルからの調整が必要になってきています(ブルネイ、カンボジア、ラオス)。
次回、こうご期待!
看護プロ
2012年06月18日カテゴリー:医療全般