看護学部の定員急増、では看護師さんの就業人数は?
こんにちは。
看護プロの笠木です。
先日このブログで弊社の柴崎が、
「看護学部の定員は20年間で30倍」というニュースを取り上げました。
実際、田中真紀子文科相による、
大学の不認可問題で脚光を浴びた新設大学の中にも、
看護学部を設置した医療系の大学が含まれていましたし、
関東学院大学が看護学部を新設するというニュースを先日耳にしたりもしました。
柴崎がブログで触れたようなことを背景として、
今後も日本の看護学部の定員は、結構なスピードで増加していくものと思われます。
では、この看護学部の定員が30倍に膨れ上がっとされる92年~2002年の20年間で、
一体、就業している看護師さんはどれぐらい増えたのでしょうか?
それを示した資料がこちらです(48ページ上の図)。
グラフから見たおよその数ではありますが、正看と准看あわせて、
80万人が110万人になっています。約1.4倍というわけですね。
当たり前ではありますが、定員が増えたというのはあくまでも大学の定員の話ですから、
定員が30倍に増えたからといって、そのままの割合で、
看護師さんの就業人数が増えるわけではありません。
短期大学や専門学校出身の看護師さんも大勢いらっしゃるわけですから。
この30倍と1.4倍という数字を見比べて分かることは、ある意味、昔に比べて、
看護師さんの高学歴化が進んでいるということで、
決して大学の定員増加ほどは、その就業者数は伸びていないということです。
実際、看護師さんの転職に関わっている者としては、
医療現場で看護師さんの不足感が緩和されてきているという感じはせず、
むしろ、看護師さんの夜勤時間を制限する、いわゆる「72時間ルール」により、
その不足感は、地方や中堅の病院を中心に、より高まってきているようにも思えます。
厚労省の2011年の試算によれば、常勤の必要看護師人数は、
140万人であるのに対し、実際に就業している人数は135万人と、
約5万人の看護師さんが足りないと言われています。
ただ、これが2015年になると、相変わらず不足はしているものの、
必要人数150万人に対して、就業人数は148万人と、その乖離は、
縮小に向かう方向のようではあります。
短期大学や専門学校もトータルで見る必要はありますが、
大学の定員増ほどではないもののこのままいけば、将来的に、世の中で
必要とされる看護師さんが、十分確保された社会が来るかもしれませんね。
2012年12月28日カテゴリー:看護師