海外のニュースよりvol.1:「安楽死」について
こんにちは!ローザスの小澤です。
本日はたまにはと思い、海外のニュースから、ご紹介。
イギリスのBBC4月18日付の記事で
“Right to die: Paul Lamb takes up Tony Nicklinson fight”
(死ぬ権利:ポール・ラム氏はトニー・ニコルソンの法廷闘争に続く)
というニュース。
問題は「安楽死」を巡ってのニュース。
イギリスでも日本と同じく、自分自身で積極的に死を選ぶこと、
すなわち安楽死は認められていません。
副題に載っているポール・ラム氏は58歳で重度の身体麻痺を抱えていて、
ドクターの援助による死を望んでいるものの、
自分自身で自殺することができないレベルの麻痺を抱えているとのこと。
もう一人のトニー・ニコルソン氏は、
同じく閉じ込め症候群と呼ばれる重度の全身まひを抱えており、
家族とともに安楽死を合法化するための戦いを開始。
本人は2012年に自らの絶食により亡くなられていて、
家族が意思を継いで法廷闘争を続けています。
記事はポール・ラム氏がトニー・ニコルソン氏に続いて
「安楽死」の合法化を求める法廷闘争を開始したことを取り上げています。
賛成派の団体の意見と反対派の団体の意見の両方と、
これまでの司法判断のケースをいくつか載せてあります。
大雑把に議論をまとめると、
賛成派「本人が意思を示しているのであれば、それを尊重すべきだ」
反対派「国が死を推進することになりかねない、社会的弱者にとっては脅威だ」
という話の模様。
日本では、どうでしょうか。
死がほぼ確実の本人が延命治療を拒否する、
いわゆる「尊厳死」については徐々に議論が定着しているようです。
「安楽死」に関しては最高裁が違法の判断を下していて、
議論するのもためらわれる模様。
しかし、こういった問題も、もっと議論することは必要なのではないでしょうか。
もちろん、死生観や人権などと深いかかわりをもつことになるので、
簡単に片づけることのできる内容ではないのは確かです。
ではなぜ議論すべきか。
議論によって、絶対的な解決策が生まれるというよりも、
「安楽死」を望む方々にスポットが当たって、
その苦悩を理解しようとする気運が社会的に高まると思われるからです。
むしろ、ポール・ラム氏が求めているのも、
そういった声にならない声を発したいという思いから、
このような法廷闘争を始めたのではないかとも思われます。
注目すべきことは、ポール・ラム氏が起こしている行動よりも、
なぜ、その行動を起こしているのかにある気がします。
ローザス
2013年04月19日カテゴリー:医療全般