医療行為担う「特定看護師」法制化へ
こんにちは。看護プロの笠木です。
本日は、先週の木曜日に日経新聞の夕刊に掲載された、
特定看護師についての記事を取り上げます。
この特定看護師、2010年3月に厚生労働省の検討会が導入を提言、
以来、慎重な検討が続けられてきましたが、
今年の3月末に制度化を目指す方針が決定されました。
制度化されれば、従来、医師にしか認められていなかった医療行為の一部を、
医師の包括的な指示の下、この特定看護師が行えるようになります。
具体的な例を挙げると、胃ろうのチューブ交換や床ズレの切除、
また、薬剤の投与量を変更するといった判断も、
この特定看護師が行えるようになる見込みです。
記事では、厚労省が制度化を目指す中、試験的に先行して導入した医療現場を取り上げ、
課題がないわけではないものの、現場や患者からの評判は上々とされています。
この制度の導入を厚労省が提言している背景には、
在院日数の短縮を求める、現在の政府の医療政策に伴い、
特に高度医療を提供する急性期病院においては、
医師の負担が、限界を越えているということがあるようです。
看護師やコメディカルが、これまで医師が独占的に行ってきた業務を
一部分担できるように制度変更を行うことで、疲弊する医療現場を
救おうという狙いがあるわけです。
確かに、地域の中核病院における医師の忙しさは、想像を絶するものがあり、
業務を切り分けることで、少しでもその状況を緩和できるのであれば、
医師だけに業務を集中させておくよりも、全体的な医療の質や安全性も
向上させることができるかもしれませんね。
当然、医師から業務を切り分けることによるリスクもあるでしょうが、
先日このブログでも取り上げた、一部現場での医師の就業環境を考えると、
集中させることの方がリスクが高いという意見にも頷けます。
もちろん、この業務移管にあたっては、医療の質や安全性が損なわれることがないよう、
十分な対策を検討しなくてはならないと思いますが、
概ね、良い方向に物事が進むような判断ではないかと思います。
ただ、看護師の採用に携わっている者として率直に心配なのは、
地域の急性期医療を支える中核病院は、その多くが、
看護師不足に悩んでおり、この制度の導入をきっかけに、
その不足感がより加速されてしまうのではないかということです。
もちろん、全員ではないでしょうが、
看護師の業務が広がるわけですから。
そうなると、今度は看護師の業務を一部、看護助手に移管するということが、
検討されるかもしれませんね。
最近、看護助手不足に悩む病院もある、なんて話を耳にすることがあり、
この問題、根本的な解決には、まだまだ時間が掛かるかもしれません。
2013年05月16日カテゴリー:医療全般