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医療行為担う「特定看護師」法制化へ

こんにちは。看護プロの笠木です。

本日は、先週の木曜日に日経新聞の夕刊に掲載された、
特定看護師についての記事を取り上げます。

★★記事★★

この特定看護師、2010年3月に厚生労働省の検討会が導入を提言、
以来、慎重な検討が続けられてきましたが、
今年の3月末に制度化を目指す方針が決定されました。

制度化されれば、従来、医師にしか認められていなかった医療行為の一部を、
医師の包括的な指示の下、この特定看護師が行えるようになります。

具体的な例を挙げると、胃ろうのチューブ交換や床ズレの切除、
また、薬剤の投与量を変更するといった判断も、
この特定看護師が行えるようになる見込みです。

記事では、厚労省が制度化を目指す中、試験的に先行して導入した医療現場を取り上げ、
課題がないわけではないものの、現場や患者からの評判は上々とされています。

この制度の導入を厚労省が提言している背景には、
在院日数の短縮を求める、現在の政府の医療政策に伴い、
特に高度医療を提供する急性期病院においては、
医師の負担が、限界を越えているということがあるようです。

看護師やコメディカルが、これまで医師が独占的に行ってきた業務を
一部分担できるように制度変更を行うことで、疲弊する医療現場を
救おうという狙いがあるわけです。

確かに、地域の中核病院における医師の忙しさは、想像を絶するものがあり、
業務を切り分けることで、少しでもその状況を緩和できるのであれば、
医師だけに業務を集中させておくよりも、全体的な医療の質や安全性も
向上させることができるかもしれませんね。

当然、医師から業務を切り分けることによるリスクもあるでしょうが、
先日このブログでも取り上げた、一部現場での医師の就業環境を考えると、
集中させることの方がリスクが高いという意見にも頷けます。

もちろん、この業務移管にあたっては、医療の質や安全性が損なわれることがないよう、
十分な対策を検討しなくてはならないと思いますが、
概ね、良い方向に物事が進むような判断ではないかと思います。

ただ、看護師の採用に携わっている者として率直に心配なのは、
地域の急性期医療を支える中核病院は、その多くが、
看護師不足に悩んでおり、この制度の導入をきっかけに、
その不足感がより加速されてしまうのではないかということです。

もちろん、全員ではないでしょうが、
看護師の業務が広がるわけですから。

そうなると、今度は看護師の業務を一部、看護助手に移管するということが、
検討されるかもしれませんね。

最近、看護助手不足に悩む病院もある、なんて話を耳にすることがあり、
この問題、根本的な解決には、まだまだ時間が掛かるかもしれません。

2013年05月16日カテゴリー:医療全般