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社会保障制度の基本的な考え方と現状の制度

こんにちは、ローザスの小澤です!

連日の猛暑にも終わりが見えてきましたね!
夜になると少しずつ涼しくなる日が増えてきました。

さて、前回のブログでお伝えさせていただいたように、
このブログにて私小澤が担当の回に関しては、
しばらく社会保障制度の今後について書かせていただくことにしました。

社会保障制度改革推進法」という昨年末定められた法律によると、

①自助と共助、公助のバランスの是正
②新たな財源の確保とコストカット
③公助の中の行政負担の是正
④財源確保の方法は消費税

との4つの考え方を柱として、社会保障制度の改革を進めていく
とお伝えさせていただきました。

今回からは、社会保障の議論に関する背景や中身について、
整理していきたいと思います。

そこで、今回は下記の点について見ていきたいと思います。

Ⅰ.社会保障制度の基本的な考え方
Ⅱ.現状の社会保障制度の概要

まずは、Ⅰの社会保障制度の基本的な考え方についてです。

日本の福祉社会(国の制度だけではない広い意味での福祉)は、
自助、共助、公助の適切な組み合わせによって形づくられています。

その中で社会保障制度は、国民の「安心感」を確保し、社会経済の安定化を図るため、
大きな役割を果たしています。

全ての国民が、社会的、経済的、精神的な自立を図る観点から、
社会保障制度も、概念的には下記のように位置づけられます。

①自ら働いて自らの生活を支え、自らの健康は自ら維持するという「自助」を基本として、
②これを生活のリスクを相互に分散する「共助」が補完し、
③その上で、自助や共助では対応できない困窮などの状況に対し受給要件を定めた上で必要な生活保障を行う公的扶助や社会福祉などを「公助」として位置づけることが適切。

※②の「共助」のシステムとしては、国民の参加意識や権利意識を確保する観点から、負担の見返りとしての受給権を保障する仕組みとして、国民に分かりやすく負担についての合意が得やすい社会保険方式が基本となっています。

ここまで見るだけでも、前のトピックスで上げていた、
自助と共助、公助のバランスに関して、崩れ始めているのがわかりますね。

共助は、似たような境遇の方が参加してこそ、
負担と享受のバランスが取れるはずですから、
世代別人口の変化(少子高齢化)や給与格差、
世代間の経済状況の変化が起こっている今日日、
そのまま運用できなくなるのは当然とおもわれます。

そもそも現在の制度設計の骨組みは高度経済成長期に行われたものであり、
その後社会的に大きな変化が起きており、
その変化に現状の制度はついていけないというわけなのですね。

このあたりは次回、見ていきたいと思います。

続いて、Ⅱの現状の社会保障制度の概要ですが、
社会保障と税の一体改革の中では、
大きく「年金」「医療」「福祉その他」とくくられています。

現状、年金は下記のように基本的には3層構造になっていて、
1階部分は全員加入、2階部分以降は職業別に異なっています。

【1階部分】全国民に共通した「国民年金(基礎年金)」
【2階部分】国民年金の上乗せとして報酬比例の年金を支給する「被用者年金」(厚生年金、共済年金)
【3階部分】「企業年金」(厚生年金基金、適格退職年金、確定拠出年金、確定給付企業年金)

※自営業者や農業者は、国民年金のみに加入しますが、
民間の被用者は、国民年金に加えて厚生年金にも、公務員等は、共済年金にも加入します。
※民間の被用者については、厚生年金基金や適格退職年金などの企業年金に加入している人も多くみられます。

続いて医療は、2層建てであり、75歳を境にして区切られています。

【75歳まで】国民健康保険、協会けんぽ、健康保険組合、共済組合など、
      各保険にて対応(義務教育前:2割負担、以後70歳未満:3割、70歳以上75歳未満:2割)
【75歳以上】後期高齢者医療制度(基本1割負担、自己負担限度額あり)

最後に福祉その他は、介護保険、雇用保険、生活保護、社会福祉(障害者支援、保育など)などが含まれることになります。

これは各制度ごとに大きく異なりますので、
概要も割愛させていただきます。

こういったⅡの年金や医療、介護に関しても、世代間の負担格差や、
高齢化に伴う社会保障費の増大などの問題は、
ニュースでよく目にするところではありますね。

次回は、こうした制度がつくられた時代の背景と、
それ以降の社会の変化についてみていきたいと思います。

ローザス

2013年08月23日カテゴリー:医療全般