愛媛から世界へ
こんにちは。
看護プロの冨浪です。
本日は地元四国のニュースです。
『愛媛大学、マラリアワクチンを共同研究』
というもの。
これは、愛媛大学・愛媛大学発のバイオ企業「セルフリーサイエンス」・
マラリア研究で実績がある米国のNPO「PATHマラリアワクチン・イニシアチブ」の
3者が行うもの。
マラリアと聞いても、
私たち日本人にはあまり関わりのない病気ではありますが、
厚生労働省の調べによると2010年にマラリアで死亡した人数は世界で65万人以上もいるとのこと。
ただし、この過半数がアフリカの小児ということです。
マラリアについて少し調べてみると、
昔は日本にもマラリアが存在していたそうですが、現在は絶滅しており、
海外から帰国した人が感染していたという例が年間100件ほどある程度になっているみたいです。
さてさて、ではなぜ、そんな日本にある愛媛大学が協同研究の相手に選ばれたのでしょうか?
答えは、愛媛大学が「小麦胚芽を使ってたんぱく質を合成する技術」を開発したからということです。
私の知識不足かもしれませんが、
マラリアは海外で多数の被害者を出しているものの、
実用化されているワクチンが存在しないという現実を初めて知りました。
現在のワクチン開発で一般的な大腸菌を使ったたんぱく質の合成法は、マラリア原虫の遺伝子とは相性が悪いそうで、
小麦胚芽による合成法は相性がよく、機械で大量に合成できるため、ワクチン開発の迅速化につながるのではという考えの元、愛媛大学が共同研究相手として出てきたそうです。
3者の役割は、
・愛媛大学…小麦胚芽を使ってたんぱく質を合成する技術を共有
・セルフリーサイエンス…マラリアの遺伝子約5400種のうち、重要な役割を持つ20~30種を合成し、セル社がたんぱく質の大量合成機で増やす
・PATHマラリアワクチン・イニシアチブ…ヒトの肝臓を移植したマウスなどで、どの遺伝子から作られたたんぱく質がワクチンとしての効果があるかを確かめる
です。
ワクチンの候補となるたんぱく質を絞り込み、合成するためには、膨大な手間と費用がかかってきましたが、
日本政府、複数の製薬企業、米マイクロソフト社の創業者ビル・ゲイツ夫妻の財団などが出資して今年4月に発足した「グローバルヘルス技術振興基金」が、60万ドル(約5900万円)を助成するとのこと。
今回の共同研究で有効なワクチン候補を見つけることが、将来のマラリア根絶につながることになり、愛媛という日本の田舎から出た技術が世界に誇れるものになる。
その瞬間をぜひ見れればと切に願います。
看護プロ 冨浪
2013年11月18日カテゴリー:医療全般