社会保障制度改革推進法の基本的な考え方がどうして生まれたのか
こんばんは。ローザスの小澤です!
早くもシリーズ4作目になりました、
社会保障制度の今後。
引き続きお付き合いください。
今回は、社会保障制度改革推進法の基本的な考え方がどうして生まれたのか、
時代の変化等から探ってみたいと思います。
さて、繰り返しになりますが、
「社会保障制度改革推進法」の基本的な考え方は、
下記の4つにまとめられます。
①自助と共助、公助のバランスの是正
②新たな財源の確保とコストカット
③公助の中の行政負担の是正
④財源確保の方法は消費税
そして前回の私担当のブログでは、
つくられた当初の時代背景とその後の変化を追いました。
簡単にまとめると、
■高度経済成長期=社会保障の財源は拡大
→経済成長の停滞=社会保障の財源は拡大しない
■生産年齢人口割合が高い=社会保障の支出は少な目
→少子高齢化=社会保障支出が増大
■高齢者は三世帯がメイン=社会保障の担い手はまだ家族
→高齢者単独世帯の増加=社会保障の担い手としての家族の崩壊
■正規雇用が中心=社会保障の財源が堅固
→非正規雇用の増加=社会保障の財源が不安定化
となりました。
①自助と共助、公助のバランスの是正
つくられた当初は社会保障の負担は「自助」が中心でした。
つまり、三世帯の家族が現在の社会保障のサービス
(介護サービス、保育園など)を担うことが多かったのです。
しかし、その後家族がより細分化され、
高度経済成長期後の核家族化を通り越し、
現在は単独世帯の割合が急増しています。
これは家族という単位がこれまでと同じように、
社会保障のサービスを行えません。
つまり自助の負担も変えざるを得ないのですね。
また働き方の変化も見逃せません。
正社員で働いていれば、厚生年金によって、
ある程度自分自身で老後のお金を蓄えることが出来ます。
しかし、現代は非正規雇用が拡大。
国民年金への加入もままなりません。
このような中で将来、自分自身の年金のみで暮らせるのか、
非常に雲行きが怪しくなっているわけです。
②新たな財源の確保とコストカット
高齢化に伴う社会保障支出の増大と、
少子化と経済成長の鈍化、非正規雇用の増大による社会保障財源の縮小が起こり、
結果、財源確保とコストカットが必要ということになります。
しかし、簡単に財源確保と言っても、
もうすでに国は借金だらけで、とても余裕なんてない。
また簡単にコストカットと言っても、
年金も、医療も、介護も、社会保障は生活に直結するため、
削るのは至難な作業となるでしょう。
介護と医療を併せると、毎年1兆円のペースで負担が増えています。
それでも何とかしなければならない状況に来ているのです。
③公助の中の行政負担の是正
こちらは、既存の枠組みの中で公助の負担を是正します、
ということを確認していることになります。
つまり、年金、国民皆保険、介護保険などの枠組み自体は変えません、
その公助が担っている負担の割合を変えますよ、と言っていることになります。
つまり、医療保険に即して言うならば、
公費投入は国民健康保険や協会けんぽなどを通じて行うということです。
大きな枠組みはしばらく変える気はない、
という宣言とも取れるかと思います。
④財源確保の方法は消費税
毎年増える負担額をどうやって補うのか、
この方法について消費税として限定するのはなぜでしょうか。
今まで見てきたとおり、社会保障に関しては、
自助、共助、公助でバランスを取ろうとしてきました。
しかし、自助出来る割合は、
見てきたとおり家族の縮小や非正規雇用の拡大などのため、
更に縮小傾向。
共助負担を増大することは、すなわち年金、保険料負担等を上げることになり、
種々の団体からの反発が必至です。
また、似たような立場の方の集合組織を共助の前提としていますが、
これも非正規雇用の増加などで崩れている。
よって公助の負担という話になるのではないかと思うのですが、
税金の中でもなぜ消費税なのか。
財務省の説明では、大きく2つ。
所得税や法人税を上げることは、その世代にのみ負担させることになる。
また、景気の変動を受けにくい財源を確保する必要があり、
消費税が最もふさわしいとのこと。
わかりやすい説明だと思います。
専門家の話では、話題になる「逆進性」も実は消費税には当てはまらないとのこと。
一生涯を通じてみれば、所得税よりも消費税の負担のほうが平均化されているとか。
以上、長らく「社会保障制度改革推進法」の背景をたどってきました。
時代状況の変化などに関してはそれなりに見ていけたと思います。
では、「社会保障制度改革推進法」に則って、
将来的にはどのような全体像を考えているのか。
次回を最終回として、もう少し詳しく見ていきたいと思います。
介護系の求人という観点から見ると、有料老人ホームの看護師求人が非常に増えています。
マーケットの拡大をにらんで、民間企業が続々と参入しているようですね。
ローザス
2013年11月25日カテゴリー:医療全般