ローザス医療ニュースブログ


老人漂流社会・・・

こんにちは。
看護プロの柴崎です。

今日は、本のご紹介です。
NHKから出版された老人漂流社会です。

2013年の初頭に、NHKスペシャルとして放送されたものです。
かなり大きな反響を呼んだようですね。
私自身も見ました。
その取材をもとに、作られたのがこちらの本です。

内容は目次をみれば、大まかにお分かりいただけるかと。

1章 終の住処を選べない時代 ~病院、施設をたらい回しにされ、自宅を失う人々~
2章 死に場所さえ持てない! ~社会保障制度の機能不全による過酷な居場所探し~
3章 「漂流死」する高齢者たち ~三畳一間の終の住処・無料低額宿泊所の現実~
4章 知られざる「認知症漂流」 ~ホームレスになった認知症患者たち~
5章 どうすれば老後の安心は得られるのか ~ますます深刻になっていく高齢者の貧困問題~
6章 老人漂流を食い止めるために ~「支えて、支えられる」社会作りを目指して~

家族や地域とのかかわわりを失った老人が
居場所もないままに、亡くなっていく事例が数多く登場します。

取材をしたエリアが、私の非常になじみ深いエリア(池袋)だったり
登場する病院が家のすぐ近くだったりしたので
余計、感情移入して読んでしまいました。

本の中で繰り返し出てくることですが
・夫婦の片方が亡くなった
・年金だけでは暮らしていけず、蓄えも使い果たした
といったことから、居場所を失うケースが多いようです。

ただ、これは誰にでも起こりうることですよね。

前者に関しては、夫婦が同時に亡くなるほうが珍しいわけですし
後者に関しても、老後の蓄えが十分にある人のほうが、全体的としては少ないはずです。

それを補う、社会保障の現状を考えてみれば
国の財政が、非常に厳しくなっています。
数年後、団塊の世代が本格的な介護が必要になるころには
財政支出は、いまよりもはるかに大きくなっているでしょう。

財政の悪化を食い止めるために、当然
・医療、介護の利用者負担増
・生活保護受給額の切下げ
が実施されることになります
それも、財政状況を鑑みれば、一度では終わらない可能性が大きいといえます。

では、どうするか?

個人的には
国全体の余裕が乏しい中では、国民が少しずつ協力しながら体制を作るしかない
と考えています。

・定年退職をしたが、元気な方
・お子さんがいるので、フルタイムで働けない方
・仕事ができるのに、仕事をしていない方
そういった方が、可能な範囲で少しずつ働くことで
まずは、医療、介護領域の人材不足を埋めていく必要があると思います。

私たちも、まずは「看護師の転職・復職」という立ち位置から少しでも世の中に貢献するつもりです。

また、一般的なビジネスマン・サラリーマン(私も含みますね)も
月1度でもボランティアをするなり、寄附するなりして
医療・介護の現実を認識し、その後協力するようになれば、さらに良いのではないでしょうか。

なによりも、まず「厳しい現実」を知り
それが「自分にも、起こりうる問題」と、捉えることが重要です。

医療・介護関係の方はもちろん
是非、一般の方に読んでいただきたい一冊です。

2013年12月09日カテゴリー:介護