社会保障制度改革の後にある姿
こんばんは。ローザスの小澤です!
シリーズ5作目、いよいよ最終回になりました、
社会保障制度の今後。
社会保障制度改革基本法の後にある姿を探ってみたいと思います。
まずは前回のおさらいから。
社会保障制度改革基本法の4つの基本的な考え方の背景について。
①自助と共助、公助のバランスの是正
・三世帯家族による自助→家族の細分化による自助の減少
・正規雇用による年金と保険加入→非正規雇用の拡大による年金&保険未納という自助崩壊現象
②新たな財源の確保とコストカット
・少子高齢化→社会保障支出の増大
・少子化&経済成長の鈍化&非正規雇用の増大→社会保障財源の縮小
③公助の中の行政負担の是正
・行き過ぎと不足、両面の行政負担の是正
・既存の枠組みを変更はしない
④財源確保の方法は消費税
・景気の変動を受けにくい財源
・「逆進性」も実は消費税には当てはまらない
ざっとこういった背景で出来たものだと前回見てきました。
さて、では、こういったものをいかに是正しようというのでしょうか。
厚生労働省では「社会保障・税一体改革で目指す将来像」というパワポ資料があります。
興味のある方は見て頂くとして、簡潔にまとめると以下のような話になると思います。
<自助と共助、公助のバランスの是正>
・短時間労働者への社会保険(厚生年金と健康保険)の適用拡大
⇒共助のパイの拡大、将来的に生活保護等を受ける公助が必要な人を減らす
・在宅医療、地域包括ケアシステムの構築
⇒家族によるケア(自助)がなくなっても、地域で過ごすことができるような共助と公助のシステムを構築
<新たな財源の確保>
・消費税増税分を社会保障費に充てる
⇒今後も増税の可能性あり
・産休期間中の保険料負担免除&待機児童の解消
⇒女性の正規雇用の促進による税収増加
・在職老齢年金の見直し&定年65歳
⇒60歳~65歳までの雇用促進による税収増加
<コストカット>
・高度急性期への医療資源集中投入などの入院医療強化
⇒逆に言えば、慢性期は削減していく
・在宅介護、医療への移行
⇒逆に言えば、施設型は削減していく
<公助の中の行政負担の是正>
・世代間・世代内の負担の公平化
⇒高齢者自身が負担する割合を高くするとともに、所得に応じた負担のシステムを構築
・働くことを希望するすべての人が仕事に就けるよう支援
⇒生活保護を受けなければならない人数を減らす
つまり、大まかに言えば、以下のような世界観になるかと。
■女性と60歳以上の高齢者の雇用が一般的
■いかなる働き方であっても社会保険に加入できる
■高齢者で病院や施設に入居する方は減り、地域における在宅が中心
■所得に合わせて社会保険費用負担
より多くの人たちによって支えられる社会保障制度を想定しているようです。
高所得者や企業にとってはややハードルのある内容かもしれません。
また、年金や医療保険、介護保険などに関しては、
現状の枠組み自体が変わっていかなければならないところもあると思いますが、
そういった大きな枠組みを再編成することも想定されているのでしょう。
全体としては、現実に即した正しい方向性だと私は感じました。
まとめですが、今回一連のシリーズで調べていて思ったのは、
自分自身があまりにも知らな過ぎるということでした。
どういった理由で成り立っているのか、
前提知識がなければ良しあしが分からず、議論に参加できない。
よりよい制度とは何か、全体と部分両方で考えていかなければ、
本当にいい制度は出来ないと思います。
とにかく知り続けていくこと、またよりよい制度を求め続けていくこと、
ぼくら一人一人が続けていくことが、重要だと思いました。
ローザス
2014年01月08日カテゴリー:医療全般