認知症に優しい町“ブルージュ”
こんにちは!ローザスの小澤です。
先日、見守りキャンペーンのおはなしについて、
弊社の宮城より紹介させて頂きました。
認知症の患者さんを地域で見守り支えるために、
患者さんの情報開示が地域に開示される必要があるが、
それに際して本人のプライバシーへの配慮も必要なのではないか、
というものでした。
ちょうど先週、TVのニュースで、
海外の事例としてベルギーのブルージュが取り上げられていましたので、
今日はこちらのニュースを紹介させて頂きます。
ブルージュでは、およそ2,000人の認知症の人のうち、
3分の2が地域の中で暮らし続けています。
こちらの街ではNPOが中心となって、
行政、警察、病院、商店街と連携しながら、
認知症の患者さんが地域で暮らし続けることを支えているそうです。
たとえば、警察との連携。
家族や病院からの事前の情報提供によって、
徘徊している人を探すときに手がかりになりそうな項目を、あらかじめリストアップ。
以前、徘徊した際の発見場所や、
かつて住んでいたところなど、立ち寄りそうな場所などです。
この対策の結果、警察は平均で2時間以内に、
行方不明になった人を見つけられるようになったそうです。
いわば、プライベートはすべて開示されているわけですね。
また、商店街との連携。
こちらでは、赤いリボンのマークを、
「認知症の方 歓迎」という認定証として掲げてもらっています。
こちらのマークがあるお店では、
店員が認知症の人と接するためのノウハウを学んでいるので、
認知症の人も安心して買い物ができるとのこと。
確かに認知症の患者さんを普通に対応しようとしたら、
お金のありかを忘れたり、何を買うのか忘れたり、
店員がイライラしてしまいそうです。
それを逆転して、むしろ店側が歓迎する。
ゆっくり話しかけたり、ヒントを与えてあげたり、
接し方の訓練をして対応できるようにする。
そうすることで認知症の方でも消費が続けられ、
地域の商店も、高齢化が進んで認知症の方が増えても商売を続けられる。
こちらでも、認知症であることはオープン、
ということが前提になっているわけです。
地域の中で安全、安心に暮らし続けるのであれば、
私は個人情報をオープンにせざるを得ないのだと思います。
更に個人情報を提供するかの判断は、
本人に委ねられる問題とは思えません。
社会的に対策が必要なことなのですから。
たとえば、介護施設で暮らすとしても、
そこで安全、安楽に暮らすためには、
入居者の要介護度や持っている合併症、性格、趣味、好きな食べ物などを、
働いている介護職員が把握していなければならないでしょう。
介護施設では限られた人が接するわけですから、
こういった情報は個人情報として保護することができるわけであり、
プライバシーも守られる感覚があるのでしょう。
しかし、地域で暮らすことは、
不特定多数の人と関わり、接していくことです。
不特定多数の人たちが、認知症の方と適切に接したり、
見守ったりしていくためには、
いわゆる個人情報が不可欠です。
本人が認知症でなおかつ地域に暮らし続けたいのであれば、
払わなければならない代償なのだと思います。
私は、肝心なのは、情報の種類を判断することだと思います。
安全・安楽を守るために開示しなければいけない情報。
逆に個人としての尊厳を守るために開示されてはならない情報。
十把一絡げにして、情報開示全体を雰囲気で良しあしを判断するものではなく、
現実的に必要な情報、また倫理的に守秘されるべき情報を取捨選択していくことが、
必要になるのではないでしょうか。
ローザス
2014年02月05日カテゴリー:医療全般