ローザス医療ニュースブログ


介護と看護の境目

全国老人福祉施設協議会が実施した
「特別養護老人ホーム入所者への医療対応と職務連携のあり方に関する調査研究事業」
という調査の結果が公表されました。

去年10月に全国の特別養護老人ホーム500施設を対象に実施した調査で、介護職員1184人、看護職員761人が回答しているようです。

調査では、介護職員による口腔内の喀痰吸引について聞いています。これは、本来は違法な行為ですよね。

その調査によると、介護職員による口腔内の喀痰吸引を介護職員の職務範囲とすることに賛成の看護職員の割合はなんと90.7%!介護職員自身は賛成77.6%だったそうです。また、咽頭より奥の喀痰吸引については、看護職員の賛成37.5%、介護職員の賛成38.1%、共に賛成は減っています。

現場で看護、介護をやっている方々の認識としては、「咽頭」まではリスクが少ない。「咽頭より奥」はリスクがある、という認識なようです。

一方で、少し前に日本介護福祉士会が発表した「口腔内の喀痰吸引」についての調査では、介護職の83.8%の方々が「不安を感じている」そうです。
同会では、不安を感じる理由については、医療行為であり、違法であるにもかかわらず、業務上行わざるを得ないという「制度上の不安」と、喀痰吸引そのものに対する「技術的な不安」が多いと指摘しています。

つまり、看護・介護の現場の感覚と、制度が大きくずれている。
当然、リスクの問題もあるので、簡単な結論を出してはいけないのかもしれません。
ただ、看護・介護領域の人手不足はずっと前から叫ばれていること。
こういう小さなことから(リスクを勘案して)、変えていかないと先に進みませんよね。

昨日のナースプラクティショナーの話の続きのような話になってきましたが、まさに、世界で最も高齢化社会の進んでいる日本にいるからには、こういった議論は重要です。まさに、世界のさきがけですからね。

医師、看護師、介護師の仕事の領域の最適化を図らないといけません。
僕らも、こういった仕事を通じて、もう一歩踏み込んだ議論に参加できるようにしていきたいものです。。。

2009年06月16日カテゴリー:医療全般