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【知っておきたい】扶養控除について②【転職の秘訣

扶養の範囲外、範囲内についてご説明します。

ちなみに、先日掲載したこちらの記事の続編になりますので、ぜひ併せてお読み下さい。

今回ご説明する内容は、看護師さんですと主に非常勤・パートタイマーとして働いている方に該当する事かと思うので、この記事内で使われる「短時間労働者」は非常勤・パートタイマーの方を指す事として下さい。

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トピックス◆
①新たに登場する106万の壁について
②健康保険と厚生年金について
③非常勤・パートタイマーの人が気をつけるべき事

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①新たに登場する106万の壁について

先日掲載した記事では、扶養の範囲内で働く上で発生してくる103万の壁、130万の壁についてご説明しました。
端的に言うと、103万の壁は扶養されている者の年収が103万を超えると、その収入に所得税が課税される」というもので、130万の壁は扶養されている者の見込み年収か130万を超えると、社会保険への加入の義務が生じる」というものでした。
ここまでが、従来の扶養控除制度だったわけですが、実は2016年10月から、この制度に一部変更が生じる事になっています。

「短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大」

こちらが、2016年の10月に施行となります。
つまりどういう事かと言うと、短時間労働で働く人の社会保険(この制度の場合、健康保険と厚生年金を指す)の加入義務が生じるラインが引き下がった、という事です。

具体的な数字で言うと、今までは短時間労働者の社会保険への加入義務は、勤めている会社の正職員の労働時間の4分の3以上の勤務実績があり、見込み年収が130万円を超える場合に生じていました。
これが、新制度になると、週20時間以上の勤務実績があり、見込み年収が106万を超える場合に社会保険せの加入義務が生じようになるのです。

※ちなみに、こちらの制度は当面は501人以上被保険者のいる企業のみ対象となります。

②健康保険と厚生年金について

ここで、この記事内で何度か登場しているワードの「健康保険」と「厚生年金」について軽くご説明します。

健康保険とは、雇用者の福利厚生を目的に社会保険方式で運営される医療保険のうち健康保険法に基づくもの、とされています。
一番分かりやすいものだと、「健康保険証」です。医療機関にかかる際に提示する「健康保険証」は、この健康保険制度のもと発行されています。
実はそれ以外にも、「療養費の給付」や「傷病手当金の給付」「出産・育児一時金」や「出産手当金」といった制度も、健康保険に基づいているのですが、ここでは詳細な説明は省きます。

次に厚生年金ですが、厚生年金は、基礎年金たる国民年金にさらに上乗せして支給されるもので、厚生年金に加入している人は自動的に国民年金にも加入している事になります。
要するに「年金」なのですが、厚生年金に加入している方が老後に貰える年金が国民年金のみの加入の場合より多くなります。

ここで大事なのは、健康保険や厚生年金の内容ではなく、社会保険に加入している場合、社会保険料は毎月のお給料から算出される保険料の半額を会社が預かり、会社がまとめて支払っている、という事です。

③非常勤・パートタイマーの人が気をつけるべき事

大筋から反れましたが、本題に戻します。
扶養控除制度の見直しにより、社会保険への加入が見込み年収106万円以上の人に義務付けられるようになります。
この新制度は、元々非常勤やパートタイムで働いていても、フルタイムに近い形で働いており、社保にも加入していた人達にはまったく影響のない事です。

では、非常勤・パートタイマーの中でも、旦那さんの扶養内で働いていた人達にはどういった影響があるのか
これについては、まず大きく分けて2つあります。

(1)旦那さんの仕事が自営業の場合
(2)旦那さんの仕事が会社員、公務員の場合

(1)に当てはまる人は、新制度によって得をする人です。
自営業者の場合、厚生年金には加入出来ず、旦那さんもその奥さんも各々が国民年金を支払っていたのが現状です。
しかし新制度により、奥さんが働いている企業で社保に加入し厚生年金に加入する事になると、厚生年金は会社が半額を負担してくれている訳なので、今まで支払っていた年金額は減り、老後に貰える年金額も増えます。

では(2)の場合はどうか。
(2)に当てはまる人は、注意が必要と言われています。
これは、扶養内のパートタイマーとして働く以前に厚生年金に加入していた事があるのか、新制度により新たに厚生年金に加入する事になった際の年齢(今後何年厚生年金を支払うのか)など、その人により様々なのですが、人によっては今後年金を受給するまでに支払う金額より、受給される金額が少なくなってしまう事があります。

そういう訳で注意が必要なのですが、現在国民年金の受給金額は約5万円程度です。
一方で、厚生年金の受給金額平均は約15万円です。
(厚生年金は、その人の所得や勤続年数などにより受給額が変動するので、人により受給される金額は様々ですのでご注意下さい。)

国民年金は「現在」の受給額なので、今後はもっと減っていくでしょう。
医療技術の進歩に伴い高齢化が進み、定年制度も今後は引き上がっていく事を考えても、老後に受給される国民年金額は今後ますます頼りないものになっていきます。
社会保障制度に頼らず、ご自身で老後の蓄えをこつこつ増やす事が一番なのかも知れませんが、もし10月からの新制度で新たに厚生年金への加入義務が生じてしまう人の場合は、扶養控除などは考えずに、税金で引かれる金額を上回る所得を得られるラインで働く事が一番良いように思います。

2016年02月19日カテゴリー:医療全般, 転職