【知っておきたい】看護職賠償責任保険について【転職の極意】
看護職賠償責任保険というものをご存じでしょうか。
医療機関に勤める看護職の人が、個人で加入する保険です。
医療が高度化する中で、これまで医師の補助的な役割であった看護職が、独自の業務を行う場面が拡大してきました。
それに伴い、看護職が法的責任を問われる場面が増えてきております。
看護職賠償責任保険とは、そのような場面で看護師個人を守るためのものとして創設されました。
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【トピックス】
①看護師個人が訴えられるケース
②看護職賠償責任保険に加入するメリット
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①看護師個人が訴えられるケース
看護師個人が訴えられるケースは様々です。
そもそも訴えられるとは、何に訴えられるのか。訴えられると何が起きるのか。これらを先に説明します。
医療事故を起こしてしまった場合に、その病院に求められるものは「民事責任」「刑事責任」「行政責任」の3つに分けられます。
3つの中で、「刑事責任」が問われることはそう多くありません。
刑事責任とは、法律に反する行為を行った事により刑罰を課される責任の事です。
故意に医療事故を起こし患者を死亡させる、患者さんを暴行し死亡させるなど、余程悪質な場合でないと刑事裁判になるまでに至らない、と聞きます。
また、実際に看護師が業務上過失致死などの事件を起こしてしまったとしても、事件を調査すれば、おおもとの原因は、勤め先の病院・施設にある事が多いため、行政処分とりわけ「免許取り消し」まで至ることはそうそうありません。
「行政責任」とは、行政上処分される事、つまり看護職においては「業務停止命令」「懲戒免職処分」「免許取り消し」などを指します。
行政処分においては、毎年数十名の看護職がその対象になっている為、まれな話ではないですが「医療事故において罰金以上の刑に処せられた者」「心身を患っているもの」「薬物中毒者」「看護師の品位を損なう者」といったように、そもそもの人格面に問題がある場合が多いです。
その為、医療事故が発生した際に看護職が問われることは「民事責任」が主になります。
民事責任とは、民事上の損害賠償責任の事を指します。
この責任を果たす為には、必ずしも裁判所で訴訟判決を経る必要はなく、当事者間で話し合いの場を持って処理する事も可能です。
しかし、もし訴訟になってしまった場合、医療事故は「債務不履行責任」と「不法行為責任」に法的には分けられます。
「債務不履行責任」とは、債務者が契約によって課せられた義務を全うしないために発生する責任の事です。
医療事故においては、診療契約に基づき病院開設者が患者に対して責任を負わなかった場合に、この「債務不履行責任」が発生します。この責任は、契約当事者間でかわすものになっており、病院開設者が責任を負うかたちになる為、医師や看護師個人が訴えられることはありません。
しかし「不法行為責任」は契約関係の有無を問わないものになる為、病院だけでなく医師や看護師個人が責任を問われる可能性もあります。
「不法行為責任」とは、ある一定の結果が発生することを認識すべきだったにもかかわらず、不注意にもそれを認識しなかった事、またはある一定の結果が発生することを防止すべきだったにもかかわらず、不注意にもそれを防止しなかった為に生じる責任の事です。
以上をふまえた上で、看護師が訴えられる具体例は以下になります。
[1]医療事故が発生した場合に、担当看護師が訴えられるケース
医療事故が発生した際に、その原因が明らかに看護師の処置によるものであった場合に、患者本人もしくは患者家族より訴えられるといったケースが発生する事があります。
[2]患者の個人情報が漏えいしてしまい、患者本人もしくはその家族から「精神的苦痛を受けた」として訴えられるケース
看護師には、保健師助産師看護師法状の守秘義務があり、患者の個人情報は自分の家族にも伝えてはいけないとされています。しかし、それをうっかり自分の近しい人に喋ってしまい、それが巡り巡ってその患者本人やその家族の耳に入った時に、このようなケースが発生する事があるそうです。
また、まれなケースではありますが、看護師個人が訴えられなかった場合でも、病院側より看護師の責任の割合に応じた金額を払うように請求されることもあるそうです。
このような事態が発生した場合に、看護職賠償責任保険は、看護師個人を守るものとして有効に作用します。
②看護職賠償責任保険に加入するメリット
看護職賠償責任保険に加入するメリットとしては、上記のように不運にも患者より訴えられてしまった際の、損害賠償金や訴訟費用を保障してもらえることにあります。
これは「対人賠償」にあたりますが、下記の保険金が支払われないケースを除き、様々な医療事故に対応しております。
<保険金が支払われないケース>
①契約者または被保険者の故意
②美容を唯一の目的とする業務
③看護業務の結果を保証することにより加重された賠償責任
④上記のほか、賠償責任保険普通保険約款、保健師・助産師・看護師特別約款、セットする各特約条件の免責規定に該当する事由
「対人賠償」以外で、保険が発生するのは「対物賠償」です。
これは、病院から借りていた機械・機器を破損してしまった場合に適用されます。
これまで賠償の対象となったものの上位は「補聴器」や「義歯」などだそうです。
看護職賠償責任保険制度への加入は、あくまで看護師個人の任意ではありますが、加入しておくことは損にはなりません。
現在、東京海上日動火災保険株式会社、三井住友海上火災保険株式会社、損害保険ジャパン日本興亜株式会社などから、看護職賠償責任保険は販売されております。
毎月の保険料は、約5,000円程度が相場のようです。
ただし、看護協会に加入していると、多少割引がきき3,000円程度で加入できます。
いつか加入しようと思っていた方や、必要ないと思っていた方も、一度検討してみてはいかがでしょうか。
2016年05月25日カテゴリー:未分類